Dan Rhatiganがフォントの微調整について語る

ウェビナー「美は細部に宿る – こだわりのタイポグラフィ」でDan Rhatiganは、OpenType機能の、特に合字、文脈依存置換、スモールキャピタル、数字スタイルの活用方法について解説しました。その後、参加者からの合字、OpenType、自分のデザインツールで活用する方法についての質問に答えました。

合字は常に使うべきですか、また合字を使うべきでない場合はありますか。

まずは合字を使って、特定の問題が発生した時にだけ合字をオフにするとよいでしょう。スタイルシートの編集や作成をする場合、基本的な文字書式に合字が組み込まれていますから、初めからそれら全部を使用するよう設定することができます。すると、基本的な合字だけでなく、あらゆるOpenTypeの機能全てが使えるようになります。「fi」や「fl」、場合によってはその他の複雑な組み合わせに影響する基本的な合字が設定に入っているのは、調整を一切加えずにテキストを組んだ場合に、よく起こるズレをうまく調整してくれるからです。

文字間隔を広げる場合は、合字はオフにした方がよいでしょう。テキストの自然なリズムに従うことを前提とするので、合字はその自然なスペースを取り除いてしまうからです。幸いにもInDesignなどのソフトウェアは、20ユニット以上の間隔をとるとすべての合字を自動で無効にするため、テキストの不均等な仕上がりを避けることができます。間隔を広げた文字列の中に間隔を詰めた文字があると、非常に奇妙です。そのために、いわゆる安全装置機能が内蔵されているのです。

どのタイプのフォントがOpenType機能を備えていることが多いのでしょう。プロフォントだけですか。それともプロフォントはこのような機能において他のフォントに比べて信頼性が高いということですか。

フォントに標準版とプロ版がある場合は、プロ版にはこれらすべての機能が搭載されていると考えてよいでしょう。フォントのプロ版が初めて発表された時、「プロ版」とは旧版フォントにこれらの機能を追加し、OpenTypeファイル形式に更新したものを指していました。しかし、転換期以降にデザインされた新しい書体は、初めからOpenType形式になっているため、「プロ」という呼称は使われていません。名前に「プロ」とついていても、OpenType機能があるとは限りません。明確にOpenType機能があるとわかるのは、フォントに標準版とプロ版がある場合のみです。例えば、Bembo® Bookには標準版とプロ版がありましたが、すべての機能が搭載されていたのはプロ版だけです。

書体デザイナーが新しい書体を開発、拡張する時にOpenType機能を含める場合、「ff」、「fi」、「fl」など必ず含めるグリフの標準セットがあるのですか。それとも、書体デザイナーによって違うのですか。

OpenType機能は、書体デザインに適切かどうかに基づいて追加されることが多いため、グリフは様々です。ただし、「fi」と「fl」は、デフォルト文字セットとして設定されています。この2つは問題となりやすい組み合わせのため、デフォルトとなっているのです。しかし、デザイナーが非常に注意深く見ると、ほかの合字を見つける場合もあります。通常はあまり使われない「ft」などですが、実際特定のデザインに合った思慮に富んだ対処と言えるでしょう。

オールドスタイル数字は稀です。デザインがすっきりしすぎていたり、モダンすぎると奇妙に見えるからです。任意の合字や文脈依存置換も稀です。本格的なテキスト用に制作された書体のほとんどは、ライニングと等幅ライニング数字の両方を持っていることが多いのですが、それが確定しているわけではありません。等幅と比例幅を選択できる方が、はるかに重要だと思います。

ですから、MyFontsFonts.com、その他のフォント関連ウェブサイトなどのプロバイダが、具体的な情報を示していると便利です。合字や数種の数字スタイル以外に、何が含まれているかがわからないからです。

OpenTypeのために手堅い書体をいくつか推奨していただけませんか。

個人的に挙げると、書籍にはBembo® Bookが好きですね。もう少し新しいQuire Sansには、素晴らしい繊細な機能がたくさん盛り込まれていますし、ITC Avant Gardeはタイポグラフィに自由に取り組みたい時にぴったりの機能があることで有名です。高品質なスクリプト書体、例えばElegyの自然な外観は、OpenType機能から来ているのではないでしょうか。Metro Nova®Joanna® NovaGill Sans® Novaはすべてこれらの機能を搭載していますから、使うフォントのクオリティをさらに高めることができます。

気に入っているものや、追加機能がデザインに役立ったか、単にそこについているだけと感じていないかなど、他の人にもいろいろ聞いてみてください。

カーニングをオプティカルに設定すると、OpenTypeの動作は大きく変わりますか。

OpenType機能は、オプティカルとメトリクスカーニングで動作が変わることはありません。例えば、合字は通常であればカーニングされる2文字以上を1文字に置換します。

ただし、注意しなければならない点もあります。前にも話しましたが、InDesignではカーニングやトラッキングの値を20ユニット以上増やすと、合字や任意の数字の使用は無効になります。これらの外観は、標準の文字間隔を基にしているからです。また、等幅ライニング数字にオプティカルカーニングをかけると、等幅ではなくなってしまいます。

デザインのセットは、書体デザイナーだけがデザインするものなのでしょうか。それとも、ユーザーが好きなバリエーションの文字を選択して、カスタムバージョンを構築できるのでしょうか。

残念ですが、ユーザーはカスタムデザインのセットを作ることはできません。デザインのセットへのアクセスコードがフォント自体に組み込まれており、これは書体デザイナーが設定しなくてはなりません。

オールドスタイル数字に切り替えることに懐疑的なお客様に、ライニング数字よりもオールドスタイル数字の方が良いということをどのように説得したらよいですか。

スタイルについてではなく、読みやすさを重視すべきだと説明するのが良いと思います。

オールドスタイル数字に切り替えると、数字が文字列のように動作し、文章の中で数字が読みやすくなります。ライニング数字は大きくて、アルファベットを全部大文字にする時のような動作をしますから、オールドスタイル数字を使わないと、意味なく数字が目立ってしまいます。 テキストのトーンを抑え、情報全てに目が行きわたることが重要なのであれば、オールドスタイル数字を使うことで文章と数字を同レベルで強調して表示することができます。オールドスタイル数字が不可欠な真の理由は、ここにあります。スタイル上の選択ということだけではないのです。

大半のOpenType機能は、根本的に読みやすさを改善するためのものです。一部の機能は単に個性を加えるような要素ですが、数字の均等配置、スモールキャピタルや合字の巧妙な機能など、そのほとんどが文字の可読性を高めるために搭載されています。テキストの品質を改善するということは、1秒以下のほんのわずかでも読み手の目線を妨げたり、目を止めるような要素があれば、それを完全に排除することです。読みやすさや可読性について説明する時、「効率性」などの言葉を使うと、お客様から良い反応が得られるでしょう。

 

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