フリーフォントから商用フォントへ:移行のための5つのステップ.

世界有数の収益性を誇る企業の中には、フォントの重要性を認識し、組織内に専任の管理担当者を置いているところもあります。

多くの企業は、まずフリーフォントを使ってスタートします。何といっても無料なのですから。さらに、フリーフォントは一般的にオープンエンドのライセンス形態で提供されており、ほとんどあらゆる場面で使用できます。しかし、企業が成長するにつれて、フリーフォントの欠点——たとえば文字セットの不完全さや、使い古されていてありきたりな見た目・印象など——が次第に目立つようになります。

おそらく、あなたのビジネスは新たな地域への展開を進めており、それに伴って新しい言語への対応が求められているのかもしれません。あるいは、事業が成長し、市場の中で自社を差別化するタイミングが来ている、もしくは組織に新たなソフトウェアを導入する際に、より厳密な運用体制を整えたいと考えているのかもしれません(フォントもソフトウェアです!)。こうした理由はいずれも、フリーフォントから商用フォントへ移行するうえで非常に有効な判断材料となります。そして実際に移行する際には、スムースな切り替えと長期的なフォント管理体制の確立に向けて、次の5つのステップに従ってください。

ステップ1:フォント責任者を任命する.

世界有数の収益性を誇る企業の中には、フォントの重要性を認識し、組織内に専任の管理担当者を置いているところもあります。この役割にふさわしい人材は企業によって異なりますが、自社のフォントのニーズを理解し、現在どこでフォントが使われているかを把握し、あらゆる場所でのフォント更新の計画を立て、新しいフォントポリシーの導入を管理し、今後も継続的にフォントに関する意志決定ができる人物を選ぶことが大切です。

ステップ2:すべてのフォント保存場所を特定する.

まずは、クリエイティブ部門や外部の代理店パートナーに、フォントの入手先を確認しましょう。フォントファイルはローカルに保存されているのか、それとも共有サーバーに保存されていいるかを把握します。異なる環境で異なるフォントを使う際のブランドガイドラインはありますか? ベンダーやクライアントとは、どのようにフォントを共有していますか? ウェブやモバイルアプリでは、どのようにフォントが実装されていますか? 現在の組織内でのフォントの扱いやワークフローの構造、フ使用場所、共有方法などを詳細に把握することが重要です。ライブラリにフリーフォントと商用フォントが混在している場合は、商用フォントのライセンス情報についても確認してください。

どこから手をつければいいかわからない場合は、買掛金部門に過去のフォント関連の購入履歴を照会してみてください。また、フォントには、ベンダーやファウンダリを示すメタデータが含まれていることもあり、エンドユーザーライセンス契約(EULA)へのリンク情報が見つかる場合もあります。

ステップ3: IT 部門がフォントをどのように扱っているかを確認する.

フォントはソフトウェアであり、他のソフトウェア製品と同様に、配布状況を管理し、明確な調達プロセスに基づいて運用されるべきものです。IT 部門が専用のフォントサーバーやフォント管理ソフトを使用しているかどうか、フォント配布の記録があるか、フォント購入に関する予算や手続きが確立されているかを確認しましょう。また、フォントの調達がチームごとに個別に行われるなど、サイロ化された状況になっていないかどうかも重要なポイントです。

ステップ4:フォントポリシーを策定する.

使用するフォントの種類に関するガイドラインを作成しましょう。たとえば、組織が国際的に展開している、または今後展開する予定であれば、使用するすべてのフォントが各地域の言語に対応していることを条件とするのも一案です。このポリシーを設けることで、フォント購入の頻度を抑えながら、統一感のあるデザインを維持できます。

また、フォントの調達・配布に関するガイドラインも策定すべきです。たとえば、新しいフォントの調達依頼とアクセス提供のための申請フローを構築するなど、シンプルな仕組みから始められます。フォントの重要度に応じて、デジタル、プリプレス、ブランド、ラベリング、広告チームのメンバーによる「フォント委員会」を設置し、意思決定プロセスに関与させることも検討してよいでしょう。ポリシーの構成方法はさまざまですが、欠かせないのは「マスターサービス契約(MSA)」の整備です。最終的な目的は、IT 部門などの担当者がフォントに関する全体のプロセスを把握し、外部からフォントが組織に持ち込まれる経路(入力ポイント)を最小限に抑えることにあります。理想的には、フォント責任者とマスターサービス契約の管理者が、調達部門や財務部門と密に連携し、フォントの購入・ライセンスに関する記録を整理・管理しておくことが望まれます。

ステップ5:新しい商用フォントに向けたクリエイティブな探求を始

ここで考えるべきことは多くあります。あなたの会社の将来像はどのようなものでしょうか? どの地域(および言語)へ事業を拡大する予定ですか? カスタム書体が必要になる可能性はありますか? フォントはウェブ、印刷物、アプリ、電子ドキュメントなど、どこで使用する予定ですか? 現在のニーズと将来のニーズの両方を慎重に検討することが大切です。こうした判断を下し、組織全体へスムースに展開するための効果的な手段として、フォントサブスクリプションプラットフォームの活用が挙げられます。これを使えば、フォントのライセンス取得、配信、管理をすべて一元的に行うことができます。Monotype Fontsプラットフォームのように、キーワードや雰囲気、フォントファウンダリなどさまざまな条件でフォントを検索・閲覧できる充実したツールを備えたものもあります。そのため、専門的な知識がなくても、誰でもプロジェクトやブランドに最適なフォントを簡単に見つけることができます。

計画を発表し、その後モニタリングと見直しを行う.

フォント責任者が任命され、フォントポリシーが文書化され、クリエイティブな検討も進んでいるのであれば、次はフォントを使用する社内外すべての関係者にその取り組みを共有する段階です。フォント責任者の役割が組織内でしっかりと認識されていること、そしてフォントの調達・使用に関するポリシーが明確かつ包括的であることを確認してください。新しいポリシーがどのように受け入れられているかをモニタリングし、見落とされている利用ケースやニーズがないかをチェックし、必要に応じてポリシーを見直しましょう。新たな商用フォントポリシーによる成果をぜひ実感してください。ブランディングの強化、ユーザー体験の向上、そしてフォントという重要なソフトウェアが正しく管理・配布されているという安心感が得られるはずです。

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商用フォントを5つの簡単なステップで導入.
E-1-6212
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