Monotype x Limerick.

イーモン・スペルマン、講師、リメリック美術デザイン学校 / TUS
書体が、現在の美術学校のカリキュラムで、ふさわしい時間やリソースを割り当てられていないのは悲しい現実です。これはまさに時代の兆候であり、予算の削減、クラスの大型化、教育リソースの減少といった要因により、コースリーダーたちは、どの科目に重点を置くかという難しい判断を迫られています。この現実が、私たちのスタジオが美術学校と密接に連携し、将来有望なタイポグラファやデザイン学生たちと知識や経験を共有する動機となっています。私たちはこの取り組みを定期的に行っており、その主な手段はワークショップやプロジェクト課題です。未来のデザインリーダーたちと共に取り組むことは、やりがいがあり、非常に刺激的で、私たちはその活動を心から楽しんでいます。
過去4年間にわたり、私たちはアイルランドの Limerick School of Art & Design / TUSと、相互的なパートナーシップを築く機会に恵まれました。この学校は、クリエイティブ・タイプディレクターの Tom Foley の母校であり、2018年に Monotype に加わって以来、Foley と彼のチームメイトたちは、この一流の美術、デザイン、クリエイティブメディア系の教育機関で、数々のワークショップやコースモジュールに取り組んできました。
COVID以前、Foley は学校を訪問し、カリキュラムを開始に合わせて対面式のインタラクティブなワークショップを実施することができました。「学生や教育者と現地で時間を共有することは、大きな価値があります。学生にとって、ときには威圧的に感じられる書体というテーマが、人間味のあるものとして伝わる機会となりますし、私たちにとっては、自分たちが学生に教え、見せたている内容についての文脈やフィードバックを得る貴重な場となります。学生の反応は、私たちの経験が彼らにとって意味を持つのと同じくらい、私たちにとっても価値あるものです。それは双方向の関係なのです。私たちは、COVIDが発生する前から2020年のブリーフを準備していました。学生たちがすでに前例のない混乱に直面していたことを踏まえ、私たちは「バーチャル」な体験を通じて、できる限り良い経験を提供する方法を見つけおゆと決意しました」とFoley は語っています。
こうして2020年と2021年に、Foley とチームメイトである Emilios Theofanous は、Limerick と協力し、完全なバーチャルプログラムを作成しました。4年生の学生たちにとって、そのブリーフが魅力的で意義あるものであることが重要でした。グラフィックデザインコミュニケーションコースの講師であり、このプログラムのパートナーでもある Eamon Spelman は、このようなパートナーシップの意義について次のように述べています。「教育者として、私たちは書体と良質な書体の実践の重要性を理解しています。私たちはそれを、グラフィックデザイナーとしての活動の中心にあるものと考えています。ときには、書体は私たちのものだ、と言うこともあります。私たちはアニメーションやイラストレーションのように、他の多くのデザイン分野を他者と共有していますが、このコースでは、学生が学ぶうえで書体を中心に据えることの重要性を重視しています」。
バーチャルでの指導には、学生に求める内容やサポートの方法を調整する必要がありました。COVID以前は、主に印刷物とデジタル組版の技術に焦点を当てていました。これらの書体の側面は今もなお重要ですが、学生と教師が直面していた「新しい日常」にはうまく適応しませんでした。そこで私たちは、課題を見直し、オンラインでの学びの経験を豊かにするために、書体ビジネスにおける他の同様に重要な側面も取り入れることにしたのです。。
概要.
4年生の学生には、ひとつの書体を選び、その書体のためのマーケティングプランを構築することが課題として与えられました。目的は、選択した書体を宣伝するためのデジタルまたは印刷メディアの作品をデザインすることです。その作品は、選んだ書体の重要な要素や独自の特徴を明確に示し、調査と視覚的探求に基づいた明確なコンセプトに沿っている必要がありました。また、学生はキャンペーンのメッセージプラットフォームを作成することも求められました。これは、Monotype における書体リリースの重要な構成要素のひとつです。商業的な要件と学術的な学習成果を組み合わせることで、業界の期待を反映しつつ、カリキュラムに新たな視点を加えるという興味深い機会が生まれます。
メッセージプラットフォーム.
「学生たちは、Monotype のメッセージプラットフォームを実際に使い、それが Monotype でどのように活用されているかを見ることで、多くのことを学びました」と Spelman は語ります。「企業によって、業務の進め方や生産手段が異なることを認識するようになりました」。
書体.
- FF Attribute Text
- FF Casus
- FF Nort
- FF Unit
- FF Unit Slab
- Linotype Didot
- Masqualero
- Monotype Grotesque
- Neo Sans
- Neue Kabel
- Rockwell Nova
Emilios Theofanous, Creative Type Director.
作品.
若い生徒たちの心に触れ、彼らが創造性と情熱を込めて取り組む姿勢を目の当たりにすることは、大きな喜びでした。彼らは、グラフィックデザインの領域において書体がいかに重要であるかを理解しているように思えます。書体は現代のブランディングの中心にあり、書体はその人の声を伝えることができます。そしてワークショップの成果は、それ自体が何よりの証です。独創性、繊細さ、ユーモアをもって、彼らのコンセプトを生き生きと形にしていく姿は、見ていて本当に喜ばしいものでした。
他の優れたデザイン教育者との刺激的な対話にご興味がある方は、作家、キュレーター、教育者、そしてデザイナーでもある Ellen Lupton が出演する、Monotype のポッドキャスト「Creative Characters」のエピソードをぜひお聴きください。
Eamon Spelman( Limerick School of Art and Design / TUS 講師)