NYC Prideのための包括的で新しいアイデンティティ.

Sara Soskolne, Creative Type Director.
MonotypeとLippincottは、米国で最も象徴的かつ持続的なLGBTQIA+組織の一つであるHeritage of Prideが毎年開催する主要イベント「NYC Pride」のために、大胆で包括的な新しいアイデンティティを共同で開発しました。
グリニッジ・ヴィレッジでのストーンウォールの反乱から40年以上が経ち、Heritage of Prideは一つの転換点を迎えていました。ストーンウォールの余波の中で結成されたこの団体の歩みは、現代のLGBTQIA+運動の歴史そのものに深く刻まれています。象徴的なNYC Pride marchやThe Rally、その他の主要イベントの主催者として、Heritage of Prideは、誇り高く抵抗の声を上げていた初期の活動から、今日に至るまでの数々の困難や勝利、そして進展を目の当たりにしてきました。
しかし長年にわたり、その中心的イベントであるNYC Prideには一貫したブランドアイデンティティが存在せず、毎年のテーマに合わせてビジュアルを変化させてきました。
Heritage of Prideのリーダーシップチームは、団体の持つ影響力を伝え、公平性を推進し、認知度を高めるために、永続的で共感を呼ぶブランドアイデンティティが必要であることを認識していました。Lippincottは、Heritage of PrideがNYC Prideの新しいブランドアイデンティティを開発するのを熱心に支援しました。このブランドアイデンティティは、LGBTQIA+運動への組織の多大な貢献と、それが果たし続けている重要な役割を反映しています。Monotypeはこのプロジェクトに参加できたことを光栄に思います。

リブランディングの目標は、「誰もが受け入れられている」と感じられるような包摂性を打ち出し、団体の拠点である都市の精神とその重要性を表現することにありました。なにしろ、ここはニューヨークです。LGBTQIA+運動にとって、この街とそこに住む人々が果たしてきたことの重要性は計り知れません。
その想いを反映して、団体はブランドを象徴する書体として、ニューヨークに深く根ざした2つの書体、Gotham®とKnockout®を選択しました。どちらもニューヨークを拠点とするHoefler&Co®によって開発され、現在はMonotype Libraryに含まれています。これらについては、後ほど詳しく説明します。
このプロジェクトは、ブランドとその体験の基盤となる新たなポジショニングの構築から始まりました。新たなブランドのパーパスは、すべてのLGBTQIA+の人々が、自らの真実を誇りを持って愛し、生きることを励まし、後押しすることです。これは、抗議運動にルーツを持つNYC Prideの原点を受け継ぐものであり、毎年のイベントがいかにコミュニティを結束させ、その声を社会に届けてきたかを物語っています。
新しいビジュアルアイデンティティは、包括的でコミュニティ中心、かつ明確に識別可能なフラッグのエンブレムを軸に構築されています。このエンブレムは歴史に根ざしながら、今日のムーブメントの広がりを視覚的に捉えるものであり、象徴的なプライド・フラッグにインスピレーションを受けています。プライド・フラッグは、今や安全、コミュニティ、そして連帯(アライシップ)の普遍的なシンボルとなっており、団体の祝祭と活動の精神を体現しています。フラッグには「NYC」の文字がさりげなく描かれ、アダプティブグラデーションを採用しています。これにより、ストーリーテリングの柔軟性が生まれ、LGBTQIA+コミュニティ内の多様なサブグループを包括的に表現できるようになっています。
GothamとKnockoutは、単に「ニューヨークらしさ」を演出するための書体というだけではありません。Knockoutは、19世紀のブロードサイド(大判広告)の多様な書体にルーツを持ち、長年にわたって平等と認知を求めて活動してきたHeritage of Prideの決してあきらめない精神を体現しています。
一方Gothamは、ニューヨークの街角に見られる看板文字を現代的に解釈したもので、親しみやすさと力強さの両立を可能にする書体です。かつてアメリカ大統領選挙でバラク・オバマ陣営のキャンペーンに使用されたことでも知られています。Knockoutの堂々とした力強さは、Gothamのもつ親しみやすく開かれた雰囲気と絶妙なバランスを生み出しています。中でもGotham Condensed Extra Blackを大きく使うことで、この団体のメッセージは、力強く、広く開かれた、包摂的かつ堂々とした声として響きます。
「私たちの書体が、これほど意義深い目的と団体のために使われるのを見ることができて、本当にうれしく思います」と、Monotypeのクリエイティブ・タイプディレクター、Sara Soskolneは語ります。「KnockoutとGothamは、NYC Prideの歴史や、インクルーシビティという使命を伝えるうえで理想的な選択でした。単なる年に一度の祝祭ではなく、年間を通じた平等への継続的な取り組みであるということも、力強く表現しています。」
“Pride began as a protest, and we wanted to capture a typographic voice reminiscent of bold, eye-catching posters used by protestors. Designed in NYC, Knockout and Gotham pay homage to the brand’s roots, while providing the visual boldness necessary to amplify the community’s voices.”
LippincottのデザインパートナーであるJenifer Lehkerは次のように述べています。「NYC Prideは、世界的に安全、コミュニティ、そして連帯(アライシップ)の象徴として認識されていますが、同時に抗議とアクティビズムの象徴でもあります。Monotypeはこれを理解し、GothamとKnockoutという2つのフォントファミリーで、私たちの目的に見事に貢献してくれました。どちらの書体も、ブランドの精神と継承を力強く伝えてくれています」
「Prideはもともと抗議として始まりました。だからこそ、私たちは抗議運動の場で使われてきた、大胆で目を引くポスターを思わせる書体の声を再現したかったのです。 ニューヨークでデザインされたKnockoutとGothamは、ブランドのルーツに敬意を表すとともに、コミュニティの声をより大きく届けるために必要な視覚的な力強さも備えています」
平等を求める闘いに終わりはありません。そのことをHeritage of Prideは誰よりもよく知っています。私たちは、この新しいNYC Prideのアイデンティティが、団体を新たなアドボカシー(社会に対して声を上げ、働きかけること)とアクティビズムの時代へと推し進めることを願ってやみません。その取り組みに少しでも貢献できたことを誇りに思います。