ブランドリフレッシュにおいてクリエイティブリーダーが考慮すべきこと

あなたはデスクでメールをチェックしながら、明日から始まる新しいデザインプロジェクトの準備を進めています。プロジェクトの概要に目を通し、ガイドラインを確認するためのチーム会議を目前に控えています。しかし、あなたはこのチャレンジに高揚感を覚える一方で、どこから着手すべきかわからずにいます。
ブランドデザインは顧客の心に響くものでなければならないと同時に、将来の顧客ニーズにも対応できる持続可能性が求められている点も考慮しなければなりません。顧客視点でプロジェクトを構築する必要がありますが、どうすればよいでしょうか。
以下では、ブランド再生や合併・買収の際にクリエイティブリーダーが考慮すべき3つのサポートをご紹介します。
1. ブランドの方向性に関するサポート
デザインを始める前に、まずは正しい方向に向かっているか、つまり顧客を理解しているか、確認する必要があります。実際、顧客の84%はブランド体験を製品やサービスと同じくらい重要視しており、消費者の66%は企業に自分のニーズを理解してほしいと期待しています。
顧客の期待に応えるには、以下の5Wを見極めましょう。
- Who:顧客対象は誰ですか?ステークホルダーは誰ですか?
世界情勢は常に変化しています。あなたの所属する組織が世界中に顧客対象(または世界進出の野心)を持っているなら、デザインが異なるデバイス間で言語サポート(例えば米国の電話とインドの電話)に適応できることを確認しましょう。また、ステークホルダーのニーズとバランスを取りながら、顧客が最も反応を示すフォントを検討する必要があります。 - What:プロジェクトの目標は何ですか?
フォントとビジュアルデザインがブランド要件を満たすようにするには、プロジェクトの短期目標について関係者全員が同調する必要があります。合併・買収(M&A)に向けてブランドデザインに取り組んでいる場合は、統合後の最終デザインには各ブランドの強みを生かすようにしましょう。 - When:プロジェクトはいつまでに完了する必要がありますか?
当然ですが、ブランドデザインは市場の状況に適したタイムラインで完了する必要があります。ブランドの立ち上げが最も成功する月を特定することで、成功の可能性が高まります。季節ごとの消費習慣や、顧客の支出に影響を与える可能性のある、今後の休日を考慮する必要があります。
- Where:プロジェクトはどこで展開されますか?その場所は将来的に変わる可能性がありますか?
ブランドデザインを開始する前に、プロジェクトがデスクトップ、モバイル、または印刷物にまで展開されるかどうかを把握しておきましょう。選択したフォントは、ブランドのウェブサイトだけでなく、将来モバイルアプリでも機能する必要があるかもしれません。将来に備えましょう。
- Why:なぜプロジェクトを展開するのですか?
プロジェクトの長期的な方向性を理解する必要があります。このデザインロジェクトは、ブランドが10年先の目標を達成するのにどのように役立つでしょうか?
2. フォント選定を改善するための発見サポート
方向性を明確にした次は、ブランドに合った美しいフォントを見つけるためのリサーチ段階です。リブランディングにあたってフォントを選ぶ際には、ブランドの課題を解決しつつ、顧客やステークホルダーのニーズにも合致するものを選ぶ必要があります。フォントの選択は、ブランドデザインにおいて特に重要です。フォントは、うまくマッチすると消費者の好意的な反応を13%高める力があります。さらに、適切なフォントは信頼性を9%、記憶の残りやすさを10%高めます。
フォントを選定するプロセス開始にあたり、3つの異なる戦略を以下に示します。
- フォントプラットフォームの導入
ニーズを満たす適切なフォントをウェブで何週間も検索し続ける代わりに、単一のフォントポータルに投資することができます。信頼性の高いライセンス済みのフォントを幅広く取り揃えた、ワンストップのプラットフォームです。1つのフォントライブラリを使用する利点は、すべてのフォントに1か所からアクセスできることです。ほとんどのフォントライブラリにはフィルタリング機能が付いているため、「カジュアル+クリーン」「レトロ+丸み」など、ニーズを満たすフォントを絞り込んでフォント検索ができます。ブランドリフレッシュのフォント選びは、デザインプロセスにおける重要なステップです。
- タイプデザイナーの起用
自社ブランド専用にカスタマイズされたフォントをお探しなら、フォントの専門家の起用を検討してください。タイプデザイナーは企業と協力して、企業独自の個別のニーズを満たすカスタムフォントをデザインし、競合他社とは一線を画すブランド全体のビジュアルアイデンティティ(ロゴからウェブサイトまで)を確立することができます。調査によると、パーソナライゼーションに優れた企業は、収益が40%増加し、成長が速いことがわかっています。
- 顧客体験のタイポグラフィ監査を実施
リブランディングやM&Aのためのデザインを行う場合、顧客体験を見直すことが最適な出発点となります。まず、顧客とブランドとの出会いを特定し、顧客がウェブサイトやデジタル製品をどのように利用しているかを把握します。これらは、顧客の状況に合わせてリブランディングを調整するための重要な要素です。M&Aの場合、買収された方のブランドはこれまでとは違うURL、フォント、地理的環境になるため、これらすべての要素を精査して、顧客の共感を呼ぶものをより深く理解しましょう。既存のフォントを見直して、どのフォントが最も共感を呼ぶかを確認します。一方のブランドのフォントをそのまま使用することも、両ブランドの要素を取り入れた新しいフォントを作成することもできます。ブランドは、特定のあるいは統一されたフォントプラットフォームを利用することで、使用するフォントをすばやく見直したり、新しい言語を追加して新しい地域やフォントケースの用途をカバーしたりといったことが簡単にできるようになります。
3. ブランドフォントのテストサポート
ブランドに適した美しいフォントを選択したら、それが適切な選択であることを確認するためにテストを行いましょう。世界中に顧客対象がいるので、全体像を把握するために多様な協力者に働きかける必要があります。
次の3つのテストを試してみてください。
- 社内でブランドに使用するフォント評価を実施
新しいブランドフォントを、ブランドが日常的に使用するテンプレートに挿入して、その機能を確認します。新しいフォントをメールツールやアンケートツールに追加し、社内チームにテストを送信して、さまざまな画面サイズやスクリーンリーダーでフォントがどのように機能するかを確認します。デスクトップでもモバイルでも判別性が高いか?メールフォームではどうか?ブランドデザイン用に選択したフォントが、ウェブサイトからモバイルアプリまで一貫していることを確認する必要があります。
- 顧客を巻き込んだブランドに使用するフォント評価を実施
フォントが世界中のデジタルユーザーに通用することを確認するために、さまざまな国の信頼できる顧客数名に連絡して、フィードバックを求めましょう。新しいフォントで匿名のアンケートを送れば、率直なフィードバックを得ることができます。
- フォントの属性付け方法を決定
M&Aのために新しいフォントを選択する場合は、フォントの属性について検討する必要があります。新しいブランドの展開は一度に行う場合もあれば、ロゴやフッターの変更など、顧客に徐々に慣れてもらうためにゆっくりと移行する場合もあります。例えば2010年にコンチネンタル航空がユナイテッド航空と合併したとき、両社はフォントの統合を決定し、コンチネンタル航空のロゴにユナイテッド航空の元のフォントからヒントを得た新しいフォントを採用しました。一方、TelecomとSprintが合併したとき(2018~2020年)、最終的なロゴは独立したT-Mobileのロゴでした。
いよいよデザイン開始です。
これまでブランドの方向性、フォントの発見、フォントのテストについて説明してきましたが、いよいよデザインプロセスを開始するときです。ブランドデザインをゼロから始める場合でも、今後のM&Aのために既存のフォントを確認する場合でも、適切なフォントを選択することが重要です。
美しいフォントでも、顧客対象にマッチしないものを選択すると、収益と潜在顧客を失うことになるのを忘れないでください。すべてのフォントが1か所にまとめられた特定のあるいは統一されたフォントプラットフォームがあれば、既存のフォントを再考したり、新しいフォントを見つけたり、デザインプロセス全体にわたって検索プロセスを短縮したりするのに特に役立ちます。