象徴的な銀行グループのための、一貫したアイデンティティの創造.

Monotypeは、Santanderのあらゆる部門が、事後的な修正や複雑な指示なしで容易に扱える書体の設計を目指しました。

Santanderは現在、あらゆるチャネルで、認識しやすく、読みやすく、明確な方法で顧客とコミュニケーションできる体制を整えています。 

Santanderについて. 

Banco Santanderは、1857年に設立され、スペインに本社を置く、大手リテール・商業銀行です。欧州および南北アメリカの10の主要市場で確固たる地位を築いており、時価総額ではユーロ圏最大の銀行です。世界中に1億4,200万人以上の顧客を抱え、ブランド価値は56億ユーロに達し、Interbrandの「Best Globa Brand」レポートにおいて、世界で最も価値のあるブランド100社にのひとつに選出されました。また、欧州連合(EU)においても最も価値のある金融機関のひとつとして地位を確立しています。 

課題. 

Santanderは30年近くにわたり、グローバルに成長を続けてきました。欧州での銀行業務で知られていますが、南北アメリカ大陸にも事業を拡大しています。買収や地域拡大、さらに取扱商品の拡充に伴い、銀行グループ全体で統一されたビジュアルを維持することがますます困難になっていました。加えて、Santanderは次のような、差し迫った市場の変化にも対応する必要がありました。 

  • デジタルトランスフォーメーションと、ブランドコミュニケーションにおける新たなチャネルへの嗜好
  • 若い世代の消費者が、ブランド全般、特に銀行とどのように関わっているか(以前の世代と比較して)への適応
  • グローバルポートフォリオ全体と連携しながら、地域に根ざした顧客エンゲージメントを実現する、有意義で統一された体験を提供する必要性

リブランディングの一環として、Santanderはより一貫性があり、未来を見据えた書体戦略を策定する必要があることは明らかでした。InterbrandとMonotypeが、Santander専用の新しい書体ファミリーの可能性について初めて話しあった当時、同ブランドではFF Kievit、Berling、Open Sans、Arialという4つの異なるフォントファミリーが、さまざまな用途で使用されていました。 

解決策. 

まず、MonotypeはブランドとInterbrandと協力し、「Santander」というワードマークの課題に取り組みました。このワードマークは、Times、Century、Berling、Garamond、Bodoniといった定番書体の特徴を組み合わせたもので、やや時代遅れの印象を与えていました。Santanderは、色やシンボルを超えた個性、すなわちブランドのポジショニングである「真の繁栄を毎日(Real prosperity every day)」と、「シンプル、パーソナル、そしてフェア(Simple, Personak Fair)」という価値観に合致し、かつ識別可能な個性を定義したいと考えていました。 

「デジタルと印刷の両方で機能し、限られたウェイト数で対応でき、すべての大陸で使用できる書体を開発する必要がありました」

— Borja Borrero, Executive Creative Director, Interbrand.

ロゴのリデザイン:2つの選択肢 

ワードマークのリデザインにあたっては、すでに過去のブランドワークショップで採用された要素がいくつか存在していました。たとえば、閉じた小文字の「a」や、横棒が半分になった「t」などです。こうした前提があったため、MonotypeのデザイナーHendrik Weberは、全体的なフォントのスタイルに完全に集中することができました。彼は2つのスタイルの方向性を提示しました。1つ目は、落ち着きのある文字でありながら強い個性を持つ、より人間味あふれる提案。2つ目は、より「スポーティ」または「モジュレーテッド」な、洗練され時代を超えるスタイルです。サSantanderとInterbrandは、ヒューマニスト的アプローチのオプションAを選択しました。 

改良とロゴ書体. 

Santanderのブランド構造に完全に適合させるため、ワードマークの7つのグリフ(S、a、n、t、d、e、r)に基づいた、完全なアルファベットが開発されました。完成したロゴフォントには、RegularとLightのウェイトで利用可能な完全な文字セットが含まれています。ロゴ内の「炎」は、ワードマークのグリフとの調和を高めるために最適化・簡素化され、等間隔の線、内部、均一な角度を保証するグリッドを使用して設計されました。また、この「炎」は書体システムにも組み込まれ、シンボルとワードマークを組み合わる際に(サイズ、比率、間隔の面で)容易に扱えるようになっています。 

テキストフォントの必要性. 

 

ロゴとロゴフォントが開発されると、Santanderはデジタルと印刷の両方を含むあらゆるチャネルでブランドボイスを発信するために、アイデンティティシステムを拡張する必要があることが明らかになりました。このプロセスの第一歩として、Weberはロゴのグリフをテキストサイズでも読みやすくするためのテキストフォントを開発しました。彼は「x」の高さ、アセンダーとディセンダー、さらにトラッキングを拡張しました。また、アンティクア書体に基づき、小文字の「g」と「a」の代替字形も作成しました。その後、Monotype、Interbrand、Santanderの3社によるワークショップが開催され、さらなる代替グリフが検討され、アウトラインが作成されました。

テキストフォントの他のデザインコンセプトには、鉤状の「i」「j」「l」、突起のある「b」「m」「r」、そして最後に交差したバーを持つ「f」と「t」が含まれていました。

Santanderのアイデンティティシステムをすべてのチャネル、地域、サブブランドで機能させるため、InterbrandとMonotypeは、ワードマークとテキストフォントの視覚的なつながりを可能な限り維持することを推奨しました。特に、見出しやタイトルにはロゴと共通する特徴が必要であり、細身の字形とそのデザイン特性は不可欠でした。また、主にデジタルチャネルに加え、契約書などの小さな印刷環境にも対応できるよう、マイクロテキストも計画に組み込まれました。 

結果. 

このプロジェクトにおいて、Monotypeは、Santanderのあらゆる部門が、事後的な修正や複雑な指示なしで容易に扱える書体の設計を目指しました。そのため、フォントファミリーのバリアフリー版が推奨されました。機能を分離することで、スタイルの代替機能やハンドブックといったツールを使用せずに済むようにしました。 

最終的に、以下の4つの書体から成るファミリーが完成しました。 

  •  ロゴ(2種類のウェイト) 
  • 見出し(6種類のウェイト)
  •  テキスト(10種類のウェイト) 
  • テキストマイクロ(10種類のウェイト)

このシステムと、それに付随するイメージ、色彩、アイコン、そしてInterbrandが主導したリブランディングのその他の要素を組み合わせることで、Santanderはあらゆるチャネルにおいて、認識しやすく、読みやすく、そして独自性のある方法で顧客とコミュニケーションできる体制を整えました。 

社内: 

  •  ブランドの価値観と個性に合致した書体システム
  • ブランド構造の明確化と一貫性の向上
  • 社内チームが地域やサブブランドをまたいでブランドアイデンティティを管理できるようにする、独自のフォントファミリーと対応するウェイト
  •  あらゆる顧客とのタッチポイントで、力強く、一貫性のあるコミュニケーションを実現

外部: 

  • ブランド全体の再構築に加え、この専用書体がSantanderのビジュアルアイデンティティを刷新
  • 新興チャネルから既存チャネルまで、世界中のあらゆる地域で活用でき、将来の事業拡大にも対応可能な書体
  •  主要な消費者層に温かく寄り添い、信頼感を高める、一貫性のあるブランド体験を提供
象徴的な銀行グループのための、一貫したアイデンティティの創造.
N-3-2446
Agency, Creative