SAP Fioriのための書体作成.

Sap
親しみやすさを持ちながらも、全力で働く。それはまさにFioriアプリに求められる姿です

MonotypeのTerrance Weinzierlは、ソフトウェア会社 SAP が SAP Fiori のための書体を開発するのを支援しました。この書体により、SAP は2015年にレッド・ドット・アワードを受賞しました。この書体のデザインは、個性を損なうことなくテキストベースのUI環境でうまく機能することが重要でした。新たに開発された書体「72」は、2017年にもレッド・ドット・アワードを受賞しています。 

SAP Fiori の導入に伴い、同社は堅牢なタイポグラフィ階層を提供し、テキスト中心の画面でユーザーがスムースに操作できるフォントセットを必要としていました。ユーザーインターフェースがほぼすべてテキストを中心に構成されていることから、フォントがさまざまな画面上で快適に機能することが重要でした。 

SAP Fiori の導入に伴い、同社は堅牢なタイポグラフィ階層を提供し、テキスト中心の画面でユーザーがスムースに操作できるフォントセットを必要としていました。ユーザーインターフェースがほぼすべてテキストを中心に構成されていることから、フォントがさまざまな画面上で快適に機能することが重要でした。 

すべての技術要件に加えて、書体がパフォーマンスとスタイルのバランスを取ることが重要でした。読みやすさ、スケーラビリティ、アクセシビリティに優れると同時に、SAP の声を明確に伝えることが求められました。 

Trust

「多くのデジタル製品において、体験がブランドです」と、同社の John Pompa は説明します。「ユーザーがこのコンテンツを問題なく受け取れる必要があります」と彼は付け加えます。「デザインが、人々の効率的な操作を妨げるようではいけません」。   

デフォルトの Arial フォントに代わる書体を探す中で、SAP と Monotype の Terrance Weinzierl は、信頼性を伝えると同時時に、温かみや親しみやすさを感じさせる書体のスタイルについて話し合いました。 

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親しみやすさを持ちながらも、全力で働く。それはまさに Fiori アプリに求められる姿です

「ArialやHelveticaのようなネオグロテスク体は、真面目で真実味のある印象を与えますが、あまりに冷たく無機質になりすぎないようにする必要がありました」と、SAP が グロテスク、ヒューマニスト、ゴシックといった書体の全スペクトラムを検討することを手助けした Weinzierl は説明します。「真面目そうに見える一方で、SAP Fioriの親しみやすい製品をつくるというコンセプトをしっかりと反映している、その両立こそが私たちの目指したものであり、そこにちょうどいい着地点を見つけることができました」。 

Weinzierlは、小文字の「a」と「g」のデザインから着手しました。これらの文字は、多くのデザインDNAを内包していることで「扱いが難しい」とされています。両方の文字形は Trade Gothic の「g」を参照しており、Weinzierlが「大きな弾むような耳」と呼ぶ特徴的なディテールを備えています。 

「このようなグロテスク体のフレームワークの中でも、ほんのわずかなディテールを加えるだけで、全体少し生き生きとすると思います」と彼は説明します。「そして、それこそが書体デザインの難しさでもあります。一つのディテールが少しでも強すぎると、ページの中で何十回も繰り返されるため、全体の印象がすぐに変わってしまうのです。重要なのは、いかに微妙なバランスを保つかという点です」。   

完成までに約4か月を要したこのデザインプロセスでは、MonotypeとSAPのデザインチームが複数回のミーティングを重ね、要件を満たすために文字の修正を繰り返しました。SAP 72 はArialのメトリクスに準拠しながらも、より丸みを帯びた字形と、わずかに大きめのxハイトによって、独自の個性を備える必要がありました。 

Accessbility

「それはネオグロテスク体の誠実さと、ゴシック体の人間味あふれるエネルギーを兼ね備えています」とWeinzierlは付け加えます。「親しみやすさを持ちながらも、全力で働く。それはまさに Fiori アプリに求められる姿です」。  

アセンダーとディセンダーは、CSSを用いてUIコントロール内で垂直方向に中央揃えができるよう、比率を等しく設計されています。また、文字を区別しやすくすることにも重点が置かれており、たとえば大文字の「I」と小文字の「l」の間に明確なコントラストを持たせるなど、視認性が追求されています。さらにこのフォントは、画面表示や小サイズでの最適に機能するように調整されています。また、同社が展開する多様な市場を反映し、ヨーロッパの言語を完全にサポートしています。 

書体の開発は、SAPという企業における書体の役割や、フォントがその企業の個性をどのように反映するかについて、より広い議論を促すきっかけとなりました。   

「デザインは、SAPにとって中核的な要素になりつつあります」とPompaは述べています。「組織として、それは大きな価値を持っており、SAP がどのように自らを位置づけたいと考えているかを示しています。そうした意味で、72 は非常に重要な貢献だと言えます」。 

SAP 72を体験する.   

SAP チームが提供するSAP 72を読み、体験してみましょう。新しいカスタム書体のさまざまなウェイトや特徴に触れてみてください。 

The Studio team.

Terrance Weinzierl

Monotype Studio のクリエイティブ・タイプディレクターとして、Terrance Weinzierl は、2008年以来、Monotype Library や様々なブランドのために書体をデザインしたり既存の書体のカスタム版を作ったりしてきました。Microsoft や Google、バーンズ・アンド・ノーブル、ドミノ・ピザやSAPのカスタム・プロジェクトで仕事をするのに加え、彼は、ゲームやプロ・スポーツ・チームや自動車メーカーの書体をデザインしてきました。