カスタム書体でグローバルプレゼンスの拡大へ - Tencent

Monotypeは中国のインターネット関連サービスを提供する大手企業Tencentのグローバルなフォントファミリーを開発しました。先進性高いデザインは、技術と未来へのTencentのコミットメントを具現化しています。 MonotypeのタイプデザイナーJulius Huiは、中国語、日本語、ラテン文字の完全たる調和を軸とした、未来的な斜体書体を制作しました。これにより、Tencentは世界に向け一貫性高いブランドの発信を可能としました。

Tencentは世界有数の大手IT企業であり、中国で使用することが出来るメッセージングアプリケーションWeChatは、ソーシャルメディアプラットフォームでありながら、ゲームやメディアなどのコンテンツサービスプロバイダでもあり、支払いサービスなどのさまざまなサービスをも包括的に提供しています。

Tencentの純資産は現在2,000億ドルを超えており、ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo)によって世界で10番目に価値の高い上場会社に選ばれました。Tencentは自国である中国では最もよく知られていますが、代表取締役会長兼CEOであるMa Huateng会長が最近「The Economist」に語ったように、「未来のグローバルテクノロジー革命を先導する」という方針を掲げているようです。

高い目標とグローバル市場に向けたブランド意識の高まりに伴い、Tencentは企業のブランド書体を多言語へと拡大する時に来ていました。そこでMonotypeは、既存のロゴに基づいて、『革新、責任、実行』というビジョンを伝えることができるコーポレートフォントの開発を手掛けることとなりました。ブランドが中国市場だけでなく、拡大する世界中のユーザーとの最良なタッチポイントが必要だったためです。

『我々の生み出している技術が、皆様の社会の発展と生活の質の新しい可能性を見出し続けていく』というメッセージを『企業の声』として皆様に確実に届くようにしたかったのです。この新しい書体は、我々の込めたこのメッセージを最大化し、Tencentのさまざまなタッチポイントから届けてくれるでしょう。

「カスタム書体を制作するということは、創立19周年を迎えたTencentが、企業イメージに投資し、地域や言語を問わず調和のとれた書体の必要性を強く意識しているということでしょう」と、上海スタジオからこのプロジェクトを率いたMonotypeのタイプデザイナーJulius Huiは話します。 「カスタム書体は、企業の声を視覚化することです。つまり、企業が顧客へブランドイメージを伝える最も有効な手段なのです」

Tencentのラテン系フォントをデザインしたタイプデザイナー、Juan Villanuevaは次のように述べています。「私たちはグローバルなマーケットにおり、中国国外のユーザーでもTencentのサービスを利用してコミュニケーションを図っています。さまざまな言語が使用されているため、どの言語を使用してもトーンとスタイルがバランスよく融合されていることが望ましいと考えます。」

Huiは、最新のロゴタイプについてTencentと緊密に協力し、文字とブランドで技術と革新を伝えるための、より現代的なイメージを加えました。その内の一つである『切れ刃(Cutting Edge)』は、活字体全体にわたるストロークの『入り』および『抜け』に文字通り表されています。書体のデザインは8-10°の角度で前方に傾斜しており、これは未来に向かっていることを表しています。

この傾斜した書体のスタイルは、鉛直に描かれていないと構造が緩みやすく、崩れやすい中国語の漢字に適応するためには特別な課題がありました。 Huiとデザインチームは、さまざまな斜体や異なる角度を試したり、傾いた漢字を描くことができる斜めのボックスの作成等を試しました。

「漢字と傾斜スタイルとの両立、並びに快適に読みやすくするために、精細な補正を各テキストに施しました。」

Tencentのグローバルな使命を念頭に置き、同社はラテン系言語への展開を必要としていました。MonotypeのデザイナーJuan VillanuevaはTencent書体のラテン語の開発を監督しました。Juan Villanuevaは、まずペンを取り、漢字を自身で書き直して構造の理解を深めました。中国語は『箱』に収まりますが、ラテン語はそれとは異なる制約があります。つまり、ラテン語と中国語は2つの異なる書記体系として動作していますが、これらを『共存』させなければなりませんでした。

「私は確かに審美的な機能に焦点を当てましたが、本当に重要だったのは、Tencentの中国語書体の根本となる、ロジックへの理解でした」とVillanuevaは言います。「例えば、ストローク方向(ダクト)が『入り』と『抜け』のストローク角度がどのように決定されているのか、あるいは直角に近い突然の方向転換にはなぜ丸い角と鋭い角を作るものがあるのかを理解する必要があったのです」

Villanuevaは、Paul RennerのオリジナルFutura書体のような初期のジオメトリック・サンセリフ体の暖かさと、Sebastian LesterのNeo Tech書体のような最近の産業界の機能的なサンセリフ体をブレンドした低コントラストで傾斜のあるサンセリフ体をデザインしました。そのストロークの鋭いカットは、中国の精神と外観の両方に一致するように意図されてデザインされています。

「どちらのスタイルも装飾品を取り除き、ダイナミックな角度を共有しています。過去に会釈し、未来に向かって傾いています 」Villanuevaは言います。「私は大胆でいて、グラフィカルで、歴史に根ざしており、かつ現代的な形の組み合わせを探していました」

2つの言語の異なる構造と戦い、中国語との調和を助けるためにラテン語版には重みが加えられ、大文字と小文字の字形が混在しています(中国語には大文字と小文字がありません)。個々の詳細は、Rのオープンカウンター、Sの平らなフレーム、Qのテールなど、中国語の表意文字に固有の形状を参照しています。

中国のデザインからストロークや形を抽象化して日本のかな文字も制作されました。Monotypeのデザイナー、土井良太が日本語を監修しています。中国語と日本語の文字の調和を創り出すことは簡単なことではありません。中国語の漢字はボックスに収まるように非常に構造化されていますが、日本語のひらがなはより有機的な丸い形をしています。

「最大の課題は、中国語の特性をどれだけ強調すべきなのかということでした。中国語の硬い印象を日本の有機的なスタイルに融合させることは、読みやすさに影響を与える可能性があります。私はユーザーの目の動きを慎重に考慮しなければならず、垂直よりも水平に動く事が多い点に留意しながらデザイン間でバランスと安定性を両立していきました」

 「中国企業は、新しい市場に拡大し続けており、歴史的に見てもこれまでよりはるかに多様な顧客層にサービスを提供しています」とHuiは言います。「Tencentは、国境を越えてビジネスを展開してきましたが、自社サービスを更に新しい地域へ拡大していく際に、ブランドイメージとメッセージがすべての地域で翻訳され、正しく伝わっていくことを確実にしたかったのです」

「書体はブランドの声を顧客に伝え、さらにブランドを約束する重要な要素です」と同社は述べています。「『我々の生み出している技術が、皆様の社会の発展と生活の質の新しい可能性を見出し続けていく』というメッセージを『企業の声』として皆様に確実に届くようにしたかったのです。この新しい書体は、我々の込めたこのメッセージを最大化し、Tencentのさまざまなタッチポイントから届けてくれるでしょう」

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