機能性とブランドを考慮したいすゞ自動車の専用書体

Isuzu AN

Monotypeは、世界トップクラスの商用車メーカー、いすゞ自動車株式会社の専用書体を制作しました。

Monotypeは、世界トップクラスの商用車メーカー、いすゞ自動車株式会社の専用書体を制作しました。

いすゞ自動車株式会社は、1916年に創業した、グローバルに事業展開している日本企業です。主にバス、トラック、産業用エンジンなどを製造しています。時代の変化にともない、車載機器の画面に多様な情報を表示するためのコンパクトな書体が必要とされていました。また、多言語展開や和文欧文併記をする機会が増えたことにより、それらに対応した書体のニーズも高まっていました。

そうした背景から、いすゞ自動車とMonotypeで専用書体の方向性について検討。長く使える普遍性、コンパクトな骨格、ウェイトの豊富さ、可読性、和欧混植時の調和などの機能的な条件と、信頼、誠実、クリーンなブランドイメージを考慮し、スタンダードな佇まいの中にもやや硬質で整然とした雰囲気のある専用書体を制作することになりました。

欧文書体については、社内で使用していたAvenir Nextの硬質な印象を残しながら、画面上での可読性や実用性を考慮して調整。Light、Regular、Medium、Demiの4ウェイトにそれぞれコンデンスを加えた8ウェイトの専用書体Isuzu ANを制作しました。Avenir Next の多言語ファミリーを使用したよりグローバルな展開も可能です。また和文書体には、Avenir NextにあわせてMonotypeが開発したShorai Sansを採用。視認性が高く、機器の表示にも適した書体です。Isuzu ANと組み合わせて使える4ウェイトが指定されました。

いすゞ自動車の専用書体は、機能性とブランドを兼ね備えた書体として、同社の製品やメッセージに幅広く使われる予定です。

小林章(こばやし・あきら)

小林章

Akira Kobayashi

欧文書体の国際コンペティションで2度のグランプリを獲得して 2001 年よりドイツ在住。有名な書体デザイナーであるヘルマン・ツァップ氏やアドリアン・フルティガー氏との共同での書体開発のほか、Monotype日本デザインチームが開発して2017年に発表された同社初の日本語書体「たづがね角ゴシック」のディレクションを担当した。欧米、アジアを中心に講演やワークショップを行うほか、世界的なコンテストの審査員も務める。2022年にType Directors ClubのTDCメダルを受賞。

土井(どい・りょうた)

土井遼太

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東京藝術大学デザイン科を卒業後、英国レディング大学書体デザインコースで修士号を取得。2015年よりタイプデザイナーとしてMonotypeに在籍し、企業制定書体の開発や、書体選定をはじめとしたコンサルティングを行う。また、たづがね角ゴシックの制作メンバーとして、ファミリー展開やCJK(中日韓)言語に対応した字種拡張にも携わる。最近では、大学での講義や国際カンファレンスでの登壇を通じ、国内外に向けて書体についての発信をしている。