Amsteldok.
WPPの世界初の可変フォントロゴ.
WPPの世界初の可変フォントロゴ.
Fontsmith(現在はMonotype Studioの一部門)とオランダのブランディングエージェンシーVBATは、革新的かつダイナミックなアプローチで、アムステルダムの新しいWPPキャンパス向けにレスポンシブなロゴフォントを制作しました。このロゴは、人々が空間内を移動すると、インタラクションと時間に応じて文字が変化します。
ロゴの形状は人間のさまざまなジェスチャーに合わせて変化し、カラーパレットは昼夜に応じて優しく変化します。これらすべてが、建物のクリエイティブコンセプトと、その空間で「息づく」創造性を反映しています。
概要
2018年後半、私たちはVBATから、20世紀オランダのクラシックデザイン(モダンで、実験的で、大胆)から影響を受けたモジュラーロゴの改良を依頼されました。私たちは共に、書体のモジュラーな柔軟性を活かした、インタラクティブでレスポンシブな書体、すなわちショーピースとなるアートワークを開発する機会があるのではないかと考えました。バリアブルフォントは書体デザインの次の大きなトレンドであり、適応型のウェイトや幅に関する実験は数多く行われてきましたが、私たちはさらにその先を見据え、真にレスポンシブで型破りなものをつくりたいと考えました。デザイナーとして、私たちは新しいテクノロジーに新たな視点を取り入れ、実験的な特性を備えた実用的なフォント、これまでにないフォントを生み出し体と考えたのです。
ロゴの書体は静的なロゴタイプを超え、ユーザーインタラクションに反応し、建物全体の案内表示システムとなることができるという明確なビジョンがありました。
アプローチ
ロゴタイプは、まず文字の比率を試行錯誤しながらも、マークの核となるエッセンスを保ったまま作成されました。最終的にいくつかのバージョンが「フォントマスター」となり、これらを補間・ブレンドすることで、膨大な数の新しいバリエーションを生み出しました。その後、開発者のCarlos Sánchezと協力し、人の動きに合わせて画面上のロゴフォントのデザイン軸をアニメーション化するレスポンシブソフトウェアを開発しました。
私たちは、この作品にブランドのカラースキームを反映させたいと考えていましたが、同時に、時間感覚を表すアイドル状態のカラースキームという別の機能も組み込みたいと考えました。そこで、太陽の動きに合わせて40分ごとに変化するカラースキームを制作し、夜間は青系、日中は黄色系へと移り変わるようにしました。
結果:
Amsteldokの文字は、ヒートマップカメラを通じたユーザーインタラクションに反応し、形が変化する流動的なバリアブルロゴフォントを形成します。そのため、Amsteldokの受付エリアを通るとフォントも変化し、誰もがロゴと触れ合いながら楽しむことができ、アイデンティティに命を吹き込むことで、よりフィジカルで没入感のあるブランド体験を生み出します。
VBATは現在、FontsmithのFS Industrie書体ファミリーを使用し、世界中のWPPキャンパスで使用するためのビジュアルアイデンティティの原則を開発中です。
「ロゴはまるで生き物のようです。常に"呼吸”しており(私たちのように休んでいる時でさえ)、人や動きにリアルタイムで反応します。文字はグリッドの制約の中で周囲の環境や互いに反応しながらも、個性的で認識しやすく、遊び心のあるブランドマークとしての一貫性を保っています 」— Pedro Arilla(クリエイティブ・タイプディレクター)
Pedro Arillaは、スペイン出身のクリエイティブ・タイプディレクター、デザイナー、タイポグラファです。2010年以来、書体のデザイン、執筆、教育、講演活動を行ってきました。2017年にFontsmithに入社し、2020年にMonotype Studioチームに加わりました。文化、テクノロジー、社会学が交差する領域において、書体がストーリーテリングの役割を果たすことに関心を持っています。