マスターカードのロゴが現代のブランドについて教えてくれること

マスターカードは、シンボルと色だけで80%の認識成功率のあるブランドに成長しました

マスターカードはリブランディングの際に、ロゴから「Mastercard」という言葉を省くこと発表し、話題を呼びました。しかし、この決定は、ブランドが自らを表現する方法においてより広範なトレンドの兆候なのか、それとも単にマスターカードが変化する市場に対処しているだけなのか、どちらなのでしょうか? 

ワードマークを持たないロゴとは 

ワードレスなロゴを採用するブランドはマスターカードだけではありません。 例えば、Apple、McDonald’s、Starbucks、Nikeなどです。企業がビジネスと顧客関係の急速なデジタル化に適応する中で、私たちはデジタルエクスペリエンスに焦点を当てたリブランディングに方向性をシフトしていく企業をいくつも見てきました。Mastercardの具体的なケースでは、そのデジタル化の中に、名前のルーツである物理的なクレジットカードが存在しない未来も含まれています。それは、オンラインでの購入がますます増加し、物理的なショップではキャッシュレス決済を好む時代にマッチした、財布やプラスチックのカードを持たないという未来です。 

新しいロゴは、シンプルな形状と色(そして何十年もの馴染み深さ)のみで顧客とのつながりを築いています。 

ワードレスなロゴを採用するということは、デジタルスクリーンなどのすべての環境でブランドを効果的に伝えることがより重要な課題となります。また、広告スペースが限られており、これらの環境で言葉の可読性を確保するのは難しい場合もあります。 

 フォントはブランド全体のエコシステムにわたる一貫した顧客体験の提供において重要な役割を果たすということです。Monotype Studioは企業がこれを解決するのをサポートし、ブランドの本質を捉え、すべての環境での可読性を確保し、最適化された顧客体験を提供するフォントへの誘導を行います。 

企業がブランディングを簡素化する方法を探る中で、他の企業もマスターカードの道をたどることになるのでしょうか?そして、それはすべてのブランドにとって正しい決定なのでしょうか? 

リブランドのタイミング 

マスターカードはこの決定に一晩でたどり着いたわけではありませんでした。50年の歳月を経て一般の意識に根付いた普遍的なブランドに成長し、2016年のリブランドでは、ワードマークと赤と黄色の組み合わさった円環を分離することで基盤を築きました。 

2016年のマスターカードのリブランドを主導した担当者は「これらの要素を分離した大規模なデザインを行った際、シンボルを単独で使用できる状況を想定しました。特にデジタルの世界では、ロゴがますます小さく表示されるため、10文字のMastercardの名前なしで使用できるようにすることは、好機であり同時に必要なことのように思われました。」と述べています。また、このリブランドでは、FF MarkというMonotypeのフォントが採用され、現在も使用され続けています。 

マスターカードはシンボルとカラーだけで80%の認識成功率を挙げていますが、それには数十年かかりました。マクドナルドの場合は、創業者たちは当初からそのアーチをレストランで使用しており、それが浸透し十分にブランドが確立した上でワードレスなロゴを採用しました。Nikeも同様に、スウッシュのみのロゴを確立するのに25年の道のりを歩みました。 

多くの面で、ワードマークを省くことはステータスシンボルであり、ブランドが世界的にも認知されていることを主張する手段の一つです。マスターカードは新しいロゴを発表する中で「私たちの伝統ある豊かなブランドに誇りを持ち、独立したアイコニックな円で構成されたロゴを発表することができて大変喜ばしく思っています。」と述べています。  

しかし、マスターカードやマクドナルドのような既存のブランドがその認識を築くのに何世代もかかった一方で、デジタル時代に生まれ育ったブランドはわずか数年で同じレベルの知名度を獲得している例も存在します。 

FacebookやTwitter(現在はX)のシンボルとアイコンは急速に浸透していきました。他のデジタル企業、例えばAirBnBなども、単語よりもモバイルファーストのライフスタイルに特化した独自かつシンプルなロゴに依存するアイデンティティシステムに素早く移行しました。 

物理的なカードをはじめとする多くのタッチポイントからワードマークがないロゴにアップデートされていきます。

ワードレスな未来について 

Interbrand 100を見ると、実はまだワードマークを持たないロゴを採用する企業は、上位100のうちたったの7つですが、今後もMastercardのようなブランドに続く企業が増えるでしょう。未来に対応したブランドを作るためには、ワードレスなシンプルさを実現することが重要になってくるからです。 

すべてのブランドにとって最も重要なのは、どのようにして効果的にブランドを伝えるかということです。そして、企業によってその答えは異なるものでしょうし、それがMonotypeにとっての課題です。単にブランドが適切なフォント選定をサポートするだけでなく、それをより広範なビジュアルアイデンティティで最適に活用する方法を理解し企業それぞれに合ったソリューションを提供していきます。 


Monotypeでは、企業が選ぶ書体についての課題や問題点を一緒に解決させていただくお手伝いをしています。まずはお気軽に相談ください。無料相談会も実施しています。 

1.    フォントのライセンスや使用条件
商用利用やオンラインでの使用に制約がある場合、ライセンスについてご説明いたします。 

2.    フォントの選択に迷っている
企業ブランドに適切なフォントを選ぶことが難しい場合、目的やブランドイメージに合ったフォントを見つけるお手伝いをいたします。 

3.    フォントのカスタマイズ
リブランディングなど特定の要件に合わせてフォントをカスタマイズしたり、変更したりする必要がある場合、その企業のフェーズやご要望に沿った形でプランをご提案いたします。 

4.    フォントの検証や評価
複数のフォントを比較したり、検証したり、どれが最適な選択肢かを判断する必要がある場合、専門的なアドバイスをいたします。例えば、現状のブランドロゴや使用書体についての評価、問題点などをフィーバックし解決方法をご提案します。