サウスウエスト航空のための、心を込めた書体.

MonotypeとLippincottはサウスウエスト航空と緊密に協力し、この愛される航空会社ブランドのために、新たなアイデンティティの中心となるタイポグラフィの声を生み出しました。
サウスウエスト航空は、約半世紀にわたり、顧客との真摯で感情的な繋がりをブランド体験の真髄とするビジネス哲学を磨き続けてきました。そして2014年、同社はその人間味あふれる価値観をより前面に打ち出すべく、ブランドの刷新を発表しました。それは、機体塗装、空港、デジタルチャネルを含む全面的な見直しであり、斬新なビジュアルアイデンティティの導入でもありました。機体からピーナッツのパッケージに至るまで、新しいブランディングは、サウスウエスト航空の自信と誠実さを、現代的な表現で伝えるものとなっています。
「私たちの鼓動はこれまで以上に強く、健やかに響いています。それは、社員一人ひとりの温かさ、思いやり、そして笑顔のおかげです」と、サウスウエスト航空の会長兼社長であり最高経営責任者(CEO)のGary Kellyは語ります。「機体に描かれたハート、そして新しいデザインの中にあるハートは、私たちが将来を見据える中で、基本的な価値観に忠実であり続けるという決意を象徴しています」

Southwest’s full brand refresh covered livery, airports, digital channels and a fresh new visual identity.
新しいアイデンティティの要となったのは、サウスウエスト航空社内のカルチャー——人間味や個人とのふれあいを大切にする文化——を視覚的にわかりやすく表現することでした。とりわけ、競合がひしめき、消費者の目も厳しさを増す現在の市場において、こうした価値を誠実に表現することがより一層求められています。
その実現に向けて、サウスウエスト航空はLippincottと提携し、同社が掲げる「ヒューマン・エラ・ブランディング(Human Era Branding)」の哲学に基づいた新たなアイデンティティを創り出しました。この哲学は、ブランドと消費者の間に、シンプルで誠実なコミュニケーションを築くことを重視しています。
Lippincottのシニアパートナー、Rodney Abbottは次のように説明しています。「ヒューマン・エラ・ブランディングは消費者の心に訴えかけます。ときに弱さを見せることもあれば、力強く、ユーモラスだったり真面目だったりすることもある。いずれの場合でも、その感情表現は本物であり、企業のDNAや存在意義に根ざしているといえます」
もちろん、言葉は最も強力なコミュニケーション手段の一つです。書体はストーリーテリングを支えるものであり、ブランドの個性を視覚的に体現することができます。このことを念頭に置き、Lippincottとサウスウエスト航空はMonotypeと緊密に協力して、ブランド専用のカスタム書体「Southwest Sans」を開発しました。このオリジナル書体は、Dan RhatiganとMonotypeのタイプデザイナーであるJim Fordによって制作され、サウスウエスト航空の個性を体現すると同時に、その「声」に多様で新たな表現を与えるよう設計されています。ブランドとして、消費者との真のつながりを築くためには、どのような場面でも独自のトーンを明確に伝える必要があります。そのため、書体はサウスウエスト航空の声を伝える上で重要な役割を担う必要がありました。

Southwest Sans typeface was inspired by the core symbol of Southwest’s identity- the heart.
サウスウエスト航空のアイデンティティにおける象徴的な存在——それは「ハート」です。ロゴタイプは、そのモチーフとの調和を意識して再設計されました。そのデザインの特徴は、書体全体のビジュアルを形づくる指針として、Southwest Sansに活かされています。方向転換を示す箇所は、シンプルな鋭いポイントで表現され、ラインは優しくアーチを描きながら、丸みのある曲線へとつながります。一部の字形ではステム(縦画)が構造的役割を果たし、コピー全体を読みやすくしています。大きな円は、親しみやすさや若々しい印象を与え、ベースラインに沿った丸みを帯びたスパー(突起)や強調されたボウル(ふくらみ)は、文字に遊び心のある表情を加えています。このバランスを取るために、書体全体では幾何学的な比率を採用し、太さのコントラストを最小限に抑えることで、モダンで親しみやすい印象を与えています。

The Southwest Sans typeface can be seen on everything from planes to peanut packaging.
ご想像の通り、この書体はサウスウエスト航空のブランド刷新において中心的な役割を果たしており、現在では機体の塗装、空港のサイン、Webサイトはもちろん、ピーナッツのパッケージやドリンククーポン、カクテルナプキンに至るまで、実に多様なブランド表現に使用されています。Southwest Sansは、どんなに小さな文字、あるいは大きなサイズでもブランドの声を的確に伝えられるよう設計されており、すべての言葉に意味を持たせ、確かな存在感をもたらします。
「この大胆な新しいビジュアルは、私たちの従業員の心と、お客様へのブランドとしての約束を表現しています」と、サウスウエスト航空のチーフ・マーケティングオフィサー、Kevin Kroneは述べます。「LippincottとMonotypeと共にカスタム書体を開発したことで、すべての文字に私たちのユニークな個性、声、ビジュアルアイデンティティを込めることが可能になりました」

Dan Rhatigan (left) and Rodney Abbott (right) reviewing the Southwest Sans typeface.
同社は財務面でも業界屈指の実績を誇ります。41年間連続で黒字を達成し、最近では「エアライン・オブ・ザ・イヤー」および「2014年のトップ投資先」に選ばれました。しかし、ビジネスでの成功に甘んじることなく、サウスウエスト航空は「ほんの少しの思いやりが、大きな価値を生む」という哲学を貫き、世界に示してきました。
今日では、旅行者は常に新しいブランドや選択肢にさらされています。その中で、書体を通して親しみやすく人間味のあるトーンで消費者に語りかけることは、ブランドを形づくる上でますます重要な役割を果たしています。