Genesis AdvertisingがアーティストのColin Davidsonと共同で制作した、Tourism Northern Irelandのためのカスタムスクリプトフォント。 

デザイナー

  • Phil Garnham.

概要.

 

北アイルランド観光局(Tourism Northern Ireland)は、北アイルランドの観光開発および観光地としてのマーケティングを担っています。他の観光団体と緊密に連携し、北アイルランドの観光振興と国内外への情報発信を行っています。2010年、Fontsmithは同ブランドの中核となるコーポレートフォントを開発し、現在も継続してサポートしています。今回紹介する最新のプロジェクトが、新しいスクリプトフォント「Giant Spirit」です。

「Embrace a Giant Spirit(壮大な精神を感じる)」は、北アイルランド観光局の新しいブランドスローガンです。訪れる人々に、北アイルランドならではの魅力を打ち出し、質の高い体験を提供することで、国際的なキャンペーンを通じて観光客数の増加を目指します。

北アイルランドに拠点を置く広告代理店Genesisは、国際的に高く評価されているアーティストであるColin Davidsonとのコラボレーションによる、新しい書体のデザインと制作を私たちに依頼しました。私たちの役割は、彼の生き生きとした筆致が生み出す自然さと自由さをそのままに、実用的なフォントへと昇華させることでした。

 

アプローチ.

Colin Davidsonは、北アイルランド・ベルファスト近郊を拠点に活動する、世界的に著名な現代肖像画家です。彼の描く対象には、著名人、大統領、そして女王陛下まで含まれています。卓越した筆使い、アイルランドのルーツ、そして地域との深い結びつきから、新しいブランドフォントの文字を生み出すにふさわしい人物でした。

Colinから筆で描かれた文字の原稿を受け取った後、まず私たちは、その細部や筆の質感を可能な限り保持しながら慎重にデジタル化しました。技術的な制約や、フォントの使用環境の多様性も考慮に入れ、デジタルでの試行を重ねた結果、筆の風合いを十分に保ちながらも、読みやすさと機能性を兼ね備えた最適な質感を見出すことができました。

Genesisは、新しい見出し書体の使用方法について明確なビジョンを持っていました。それは、文字を密に積み重ねることで、あたかも即興で作られたレタリング作品のような、コンパクトなグラフィックに仕上げるというものでした。これを実現するために、アセンダーとディセンダー(小文字の上下に突き出す部分)を短くし、大文字と小文字の大きさの差を少なめに設定しました。これにより、文字の衝突を最小限に抑えながら、極めて狭い行間設定を可能にしました。

 

結果.

完成したフォントには、大文字・小文字それぞれ2種類の字形が収録されています。これにより、組版をするときに高度な制御が可能になり、状況に応じて最も適した形を選択できます。また、同じ文字が連続しても同一の字形が繰り返されないよう、ランダム化機能も組み込まれています。

北アイルランドの観光業は、過去10年間で年間10億ポンド規模の産業に成長しました。北アイルランド観光局は、2030年までに観光収入を倍増させる計画です。このキャンペーンと新しいスクリプトフォント「Giant Spirit」は、現在、当社の独占的なBrandfont®ライセンスに基づき、Tourism Northern Irelandブランドで使用されています。

Genesisのクリエイティブディレクター、Darren Lyttleは次のように述べています。

「これは他に類を見ないほどユニークで、使うのがとても楽しいフォントです。」

「私たちは、アーティストの筆跡が持つ独自の個性を保ちつつ、キャンペーンごとにカスタマイズできる柔軟性を備えた手描きフォントを求めていました。Fontsmithのチームは、その創造性と専門知識を駆使し、北アイルランド観光局の今後のキャンペーンの礎となるフォントを完成させてくれました」

Monotype Studioの詳細はこちら。 

デザイナー

Phil Garnham.

Phil Garnham.

Philは、クリエイティブ・タイプディレクター兼タイプデザイナーとして、グローバルブランド向けの書体設計とエンジニアリングに長年携わってきました。デザインスタジオや国際的なクライアントとの連携を通して、書体によってブランドの一貫性を築くために求められる、クリエイティブ面とビジネス面の両方のニーズを深く理解しています。