
Sabon®
1960年代初め、ドイツの印刷組合がライノタイプとモノタイプの自動活字鋳植機どちらにも使える統一規格の書体をステンペル社のWalter Cunzに要請しました。これを受けてCunzはJan Tschicholdに設計を依頼、Tschichold はClaude Garamondの落ち着いた古典的なローマン体活字を参考にSabonを開発しました。Sabonはボールドや特にイタリックがライノタイプの機構的な制約を受け、スタイル間で字幅を統一する必要がありました。この結果できたのが、特徴的な幅の狭い小文字fです。Sabonという書体名はClaude Garamondのローマン体活字をフランクフルトに持ってきた活字鋳造者、Jacques Sabonの名にちなんでいます。Sabonは滑らかなテクスチャーで読みやすい本文用書体としてタイポグラファに長く愛されてきました。その大きな理由は、Tschicholdが手がけた書籍組版がいまも世界的に知られていることにあります。