
Bodoni
Morris Fuller BentonがAmerican Type Founders (ATF)の依頼でBodoniの復刻に着手したのは20世紀初頭のことでした。この歴史的な書体がオリジナルに忠実な形で再現され、一般に販売されたのはおそらくこの時が初めてです。19世紀の伝統に則った頑丈で機械的な雰囲気もあるBodoniのシリーズは、誰にとってもなじみ深い書体です。
Morris Fuller BentonがAmerican Type Founders (ATF)の依頼でBodoniの復刻に着手したのは20世紀初頭のことでした。この歴史的な書体がオリジナルに忠実な形で再現され、一般に販売されたのはおそらくこの時が初めてです。19世紀の伝統に則った頑丈で機械的な雰囲気もあるBodoniのシリーズは、誰にとってもなじみ深い書体です。
約1世紀前に誕生して以来、DINは人気を集めながらもウェイトや字幅の種類が少なかったこともあり、実用性に乏しい書体でした。時代を超えた魅力を放つDINですが、現代のデザインニーズを満たすにはアップデートが必要でした。これに応えて生まれたのが、汎用性が高く、飽きのこないサンセリフ書体、DIN Nextです。 クラシックな姿から現代の新たな定番書体へと進化したDIN Nextは、LightからBlackまで7ウェイトあり、それぞれにItalicとCondensedが用意されています。ファミリーには4ウェイトから成るDIN Next Roundedもあるので、表現の幅はもちろん、重要な使い勝手の面でも魅力が高まりました。DIN Nextにはスモールキャップ、オールドスタイル数字、上付き・下付き文字、異体字なども用意されています。
ヒューマニスト・サンセリフ書体のGill Sansは、そのトーンやコンセプトからいかにもイギリス的と思われがちですが、実際はイギリスだけでなく、幅広い国で使われています。Gill Sansがこれほどまでに普及したのは、無限に近い用途を持った優れたデザインという、シンプルで納得のいく理由があるからにほかなりません。 Gill Sansファミリーは多彩なスタイルが揃っています。たとえばLightは開放的でエレガントな姿、Regularは底のフラットなd、上部のフラットなpとq、縦線の先端が三角形のtを特徴とする、コンパクトで力強い姿になっています。BoldはLightの持つ開放的でソフトな雰囲気がある一方、ExtraBoldとUltraBoldはその個性が際立つデザインになっています。いずれも目を引くような見出しに効果を発揮します。Condensed、ExtraCondensedまで揃った豊富なウェイト、言語の拡張サポートも充実したGill Sansは、何度でも使いたくなる書体です。
実用本位の現代的なサンセリフ、ITC Conduit書体ファミリーは、日常に根ざした「ヴァナキュラー」の考え方を体現しています。デザイナーのMark Van Bronkhorstはこう説明します。「ボイラーや組立図、乾燥剤のパッケージにあるような文字です。グリッドをベースにしたシンプルな文字で、見た目は劣りますが、読みやすく、実直な文字です」 それぞれのエレメントが見事に組み合わさったITC Conduitの字形は、厳しさ、冷たさを感じさせることなく、クールな印象を演出します。出版物やパッケージのほか、案内・誘導サインにも最適です。
角張った顎、力強くたくましい腕、それでいて穏やかな語り口——ITC Franklin Gothic™はたとえるならブルース・スプリングスティーンのような、まさにアメリカの気概を体現したような書体です。ファミリーに収録されている書体は豊富で汎用性に優れています。看板や印刷広告のほか、ウェブコンテンツや小さな画面での表示にも適しています。 ITC Franklin Gothicは1902年に作られたFranklin Gothicをリデザインしたものです。Franklin Gothicの持つ個性、雰囲気を守りながらも、xハイトを若干高くしたり、字幅を広めたりするなどして、オリジナルとの違いを出しています。Helvetica®、Univers®、Frutiger®などFranklin Gothic後に登場した書体は Franklin Gothicと同じプロポーションや特性を持っていますが、共通点はここまで。ITC Franklin Gothicはアメリカの初期のサンセリフ体の持つ力強さとバイタリティーをすべて備えています。
Herb Lubalin デザインのITC Lubalin Graph®は、1974年にTony DiSpignaとJoe Sundwallによって書体化されました。骨格は同じくLubalin作のITC Avant Garde Gothicと同じですが、字形は大きめのスラブセリフに合うよう変更されています。1992年にはHelga JörgensonとSigrid Engelmannによって、スモールキャップとオールドスタイル数字の入ったコンデンストが追加されました。高めのxハイトと全体的にタイトな字幅が特徴のITC Lubalin Graphは、70年代アメリカのグラフィックデザインを代表する書体といえます。20世紀半ばのモダンデザインや、同時期のシンプルなサンセリフ体や伝統的な本文書体と合わせれば、しっくり収まります。ウェイトはコンデンス幅がBookからBoldまでの4種類、標準幅がExtra LightからBoldまでの5種類になっています。
Didotは1783年にフランスのファルマン・ディドによってデザインされました。モダンフェイスの代名詞とも言える書体であり、しっかりとしたストロークと繊細なヘアライン、直線的なセリフが特徴です。Didotはその非常に細いヘアラインゆえに、金属活字時代には使用が限られていました。 1992年にアドリアン・フルティガーがデジタル改刻したLinotype Didotは、書籍やその他テキスト用に優れているDidotの特徴をすべて残しながらも、ディスプレイ用ではBodoniのように繊細なラインに仕上がっています。
Neo Sansのデザイナー、Sebastian Lesterは、この書体を「クセがありながら読みやすく、凝りすぎず繊細で、個性がありながら邪魔をしない」と表現しています。丸ゴシックのNeo SansファミリーはLightからUltraまで6ウェイトあり、それぞれにイタリック体も用意されています。その前向きな個性は、エディトリアルや出版だけでなく、ブランディングにも最適です。 Neo Sansとセリフ書体を組み合わせれば、メリハリの利いた見た目になります。統一感を出したいときは、同じく6ウェイトでイタリック体も用意されているシリーズ書体のNeo Techファミリーがおすすめです。
オリジナルのFrutiger書体は、1970年代はじめにAdrian Frutiger率いるチームがパリのシャルルドゴール空港のサインシステムのためにデザインしたものです。同空港がオープンしてすぐ、他のサイン・システムや出版物にこの書体を使いたいと申し出る企業が続出し、1977年、Frutiger書体はLinotypeライブラリに登場しました。サイン用途にも、印刷物においての重要な書体としても、機能性と明確さに優れた典型的な書体として、Frutigerは現代の最高傑作のひとつとなりました。 Neue Frutiger®はFrutiger書体ファミリーの2009年版です。Adrian Frutigerの密接な協力を得て、小林章がデザインを再検討し、改良を加えました。
Neue Haas Groteskは、1957年-1958年にスイスにあるハース活字鋳造所のためにデザインされました。同社のMax Miedingerがデザインを、Eduard Hoffmannがアートディレクションを担当しました。スイスの書体の成功が理由で大人気となったイギリスとドイツのグロテクス書体に対抗するために作られたもので、完成後まもなくLinotypeが再デザインを行いHelveticaとしてリリースしました。 その後、ハース社の大株主であったステンペル社が、同社の大株主のフランクフルトのライノタイプ社のためにNeue Haas Groteskを改刻し、ステンペル社のヴァルター・クンツによって名称がHelvetica(ラテン語でスイスを意味するHelvetiaの形容詞形)に変更されました。さらにライノタイプ社の大株主であったニューヨークのマーゲンターラー・ライノタイプ社がデザインを採用、Futuraに代わる世界で最も人気のある書体として、急速に普及していきました。 Helveticaはまず中心となるデザインができ、CondensedとExtendedは後からデザイン、追加されていきました。これはライノタイプ自動鋳造植字機の機械的制約による理由や、販売方針に沿ったやり方ではありましたが、結果として、ファミリー間のウェイトの調和は本来あるべき姿からは離れてしまいました。 1983年、ステンペル社はライノタイプ社向けにHelveticaをデジタル改刻したNeue Helveticaを制作し、ファミリーに拡張しました。現在は51種類のウェイトで構成されています。 ウェイトを示すためのナンバリングシステムの参考となったのは、Universのシステムです。Helvetica Roman 55を基準に、数字の10の位は線の太さを表し(25 Ultra Lightや95 Extra Black)、1の位は字幅とスタイルを表しています(Helvetica 53 ExtendedやHelvetica 57 Condensed)。