SST : a font for everywhere.

SSTはブランディングの中心的課題である普遍性に取り組む書体です。SSTは、イタリック体を備えた6つのウエイトで93の言語をサポートしている、世界規模のスーパーファミリー書体です。さまざまなプラットフォームや場所でコミュニケーションを図る企業のニーズを満たすことができます。 「特筆すべき点がない、ということが特筆すべき点ですね。言い換えると、控えめなルックスが『堅実さ』や『端正さ』を出したい製品やブランドに向いています」

ソニークリエイティブセンターのチーフアートディレクターである福原寛重氏とのパートナーシップにより、小林はソニーの独自書体として初めてSSTを設計しました。ソニーは、必要とされるすべてのタッチポイント、また展開しているすべての国で機能するデザインを必要としていました。実践的な考え方に加えて、SSTは時代を超越する必要がありました。常に変化するデジタル世界の中でも、流行などにとらわれず堅実なデザイン原理を追求する必要がありました。

SST support

SSTは、8つのスクリプトと90を超える言語をサポートしているスーパーファミリーです。

SSTスーパーファミリーは8つのスクリプトと90以上の言語をサポートしています

「仮にタイポグラフィの地図のようなものがあるとして、どの書体にもそれぞれの『立ち位置』があると思うんです。トレンドに乗った見栄えの良い書体が数年後には古くさく見えたり、すごく凝ったデザインの書体が人目を引いたりすることがあります」

「いっぽう、控えめに見える書体でも、それが表現力の弱さにつながるわけではありません。」と小林は続けます。「SSTは、製品やブランド自体に語ってもらうために十分な柔軟性を持たせてつくってあります。長期的なブランディングを考えたときに、このSSTのような書体、それ自体が特に人目を引かないような書体が理想的です」

普遍的な、時代を超越した魅力を持つ書体の作成を目指すことはかなり大変な要求ですが、それは小林が自らに課したタスクです。ヒューマニスト体の読みやすさと、ネオ・グロテスク体のシャープさの実現を達成するために、ソニーのアートディレクションチームはアルファベットのスケッチから始めました。デザイナー達は、まずラテンフォントを開発し、その後多言語の文字開発へと展開していきました。

小林は、世界各地のMonotypeデザイナーのネットワークを利用して、各言語における彼らの専門性を活用するとともに、各地の文化的な感受性を得て、開発中の書体が各国に適応していることを確認しました。これは、カーブや線幅など、ディテールの一つ一つが複数の言語にわたって一貫していることを確認するチャンスでもありました。

「こういう場面を想像してみてください。製品やブランドについての説明を書かなくてはいけないことになり、その文章が堅実で端正なトーンになっていることが求められています。そのイメージにふさわしい書体を選びますよね。HelveticaやAvenirのような。でも日本語、アラビア語、タイ語についてはどうしますか?そんなとき、SSTが適切かもしれません」

目の錯覚をうまく利用することで、線幅が文字間で一貫して見えるようになりました。また、小さいサイズの隙間部分やカウンターに十分なスペースを使用することで読みやすさを最大化することができました。

そして、SSTが特徴を持ちすぎないようにしながら、小林は「柔らかすぎる」タイプフェイス感覚を避けるために、「y」のカールした脚をまっすぐにカットしました。「きれいでシンプルな」外観のこの文字は、SSTの特徴を定義したキーグリフになりました。

このタイプフェイスのリリースに伴い、多言語に対応していることを証明するため、ロンドンのクリエイティブエージェンシーのLa Familiaは、従来の見本帳とは少し違ったアプローチをしました。このチームは、SSTのさまざまな文字を現実の世界に配置し、まるで浮いた気泡や雨の滴が電車の窓を流れるかのようにネオンサインを点滅させてみせました。

SSTを3次元で見せることは、試行錯誤の連続でしたが、ユニークな環境や文字としての能力が映し出される場所で、どのようにSSTが機能するかを発見する機会にもなりました。

「さまざまな環境、場所、文脈で文字を見せたかったのです」とLa FamilaのPablo Rivera監督は説明します。「私たちは、地球上のどこでネオンと似たものを見つけられるかを考え、オーロラというアイデアを得ました。このフォントにふさわしい場所とふさわしい映像がわかってきたのです」

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このスーパーファミリーを体験するには、SSTのウェブ見本帳をご覧ください。各言語に対応したSSTはMyFontsから入手できます。エンタープライズまたはOEMのライセンスについては、お問い合わせください。

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小林章

Akira Kobayashi

欧文書体の国際コンペティションで2度のグランプリを獲得して 2001 年よりドイツ在住。有名な書体デザイナーであるヘルマン・ツァップ氏やアドリアン・フルティガー氏との共同での書体開発のほか、Monotype日本デザインチームが開発して2017年に発表された同社初の日本語書体「たづがね角ゴシック」のディレクションを担当した。欧米、アジアを中心に講演やワークショップを行うほか、世界的なコンテストの審査員も務める。2022年にType Directors ClubのTDCメダルを受賞。