自動車用フォント:道路から目を離さずとも、一目で読み取れるデザイン

今日の自動車のダッシュボードに関する懸念の1つとして挙げられるのは「視認速度」です。ダイヤル式のゲージや「満」と「空」の間の目盛りと矢印という時代は、完全に過去のものです。現代のトライバーは、車両の状態を示すさまざまなインジケーターに加え、現在地やナビゲーション、エンターテインメントに関するグラフィックや音声情報を消化しなければなりません。その状況に対応すべく、自動車メーカーやデザイナーには、こうした情報を瞬時に視認可能な形で提供することが求められています。

その場合のフォントは視覚的な魅力やブランドの一貫性だけでなく、高度な可読性と瞬時に意味を理解できる判読性を備えていなければなりません。そこで、Monotypeは「フォントの微妙な差異が運転中の可読性にどのような影響を及ぼすかを研究・分析することで、ドライバーの注意力が運転からそれるリスクを軽減することができる」と考え、この分野における先駆的研究に資金提供を行ったのです。

2012年に実施され大きな成果を上げた研究を背景に、マサチューセッツ工科大学のAgeLabとMonotypeは、瞬間的状況下における書体の可読性に関するテストのための、費用効率が高く柔軟で合理的な方法論を考案。書体、サイズ、ウェイト、極性、大文字・小文字などタイポグラフィの差異が果たす役割について、調査を実施しました。その結果、素早い視認には、Square-grotesque体よりもHumanist体のほうが可読性が高いことが判明しました。

可読性には、Humanist体が最適

ラテンアルファベットの視認における重要な要素の1つに「オープンネス」があります。オープンネスとは、文字の両端(始まりと終わり、あるいはストロークの終端)の距離のことです。Humanist体のオープンなデザインは、視認性が高く、各文字の差異もはっきりしているため、似たような形の文字が混同されることはほとんどありません。Square-grotesque体のEurostileのような書体とHumanist体のFrutigerのような書体で「c」の文字を比べてみると良く分かります。大きな「カウンター」(「o」、「b」、「a」といった文字の内側のスペース)や「xハイト」(大文字の高さに対する小文字の高さ)も、一目でそれとわかる、よりオープンな字形を構成する要因となっています。